精神障がいのある甥の将来が心配で相談。成年後見人に就任した事例
【70代女性】
事案:成年後見、財産管理
相談内容
相談者さんには、たくさんの兄弟姉妹がいましたが、兄弟姉妹は皆独立しており、疎遠になっている兄弟姉妹がほとんどでした。
その中に、相談者さんの近くに住む兄がいました。
兄には息子が1人いるのですが、精神障害がありました。
兄嫁はすでに他界。兄は息子をとても可愛がっていました。
相談者さんと兄や甥とは時々交流がある程度でしたが、その兄も他界。兄もいなくなった後、相談者さんが甥の面倒を見ていました。
しかし、相談者さんのご主人も、大病を患い介護が必要に。
自分たちの生活で手一杯になり、甥の面倒が大変になってきました。
とりわけ、甥には、その父(相談者さんの兄)か相続した不動産などの遺産があり、不動産を購入する際に組んだローンやその他にも負債もありました。
相談者さんが、生活費や債務の支払や財産の管理をしてきましたが、それらも難しくなってきました。
そこで、相談者さんは、弁護士を頼ることにし、相談にこられました。
対応
何よりも現在の状況を把握することが重要ですので、まずは、甥の生活状況や財産と負債の状況などについて、丁寧に聞き取りをしていきました。
また、相談者さんがこれまでなされてきたご苦労や、相談者さんのご希望ご意向をお伺いしながら、甥の将来の生活設計を一緒に検討していきました。
結果
今回のケースでは、精神障がいのある方が将来安心した生活を送ることができるように、成年後見人によるサポートが必要なケースでした。
そこで、すみやかに、家庭裁判所に成年後見開始申立を代理するとともに、成年後見人に就任し(ただし、成年後見人の選任は家庭裁判所の専権です。)、さっそく、甥との面会、入居施設の手配や財産の整理などを行なっていきました。
とくに、財産の整理については、借入れの残っている不動産や、その他にも負債がありましたので、不動産の管理や処分と複雑な債務への対応が必要でした。
そこで、まずは財産と負債を整理し、全体を把握することに努めました。
それから、長期的なスパンで計画を立てました。
そして、計画に合わせて財産と債務の整理を並行して行なっていき、数年かかりましたが、債務も無事ゼロにすることができました。
弁護士から
今回のケースのポイントは、相談者さんのように、専門家である弁護士を頼って解決を図ったことです。
1人で抱え込まないことが何よりも重要だったと思います。
このように、障がいのある方の生活の確保や財産の管理に向けて、状況に応じたよりよい解決方法を見つけるために、一度弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。
※これらの解決事例は実際に当事務所での取扱事案ではありますが、個人や事案の情報を保護する目的で一部変更をしている個所もあります。