出張相談後、市長による成年後見開始の審判申立てにつないだ事例

解決事例

【70代女性】

事案:成年後見

 

 

相談内容

 

相談者さんは、一人暮らしをしていましたが、ご自身では日常生活を営むことができなくなり、認知症もかなり進み、精神科のある病院に入院しました。

資産もなく、行政支援や家計支援によって、生活保護を受給して医療扶助を受けたり、福祉サービスを受けたりできるようになりましたが、入院する前に生活費のために使ったカード利用料が未払いであったり水道光熱費の滞納がありました。

しかし、支援の方が相談者さんの通帳から勝手に引き出して支払ったりすることができないなど支援にも限りがありました。

そこで、弁護士に成年後見制度の利用について相談がきました。

 

 

対応

 

相談者さんは入院しており、弁護士の事務所に相談しに来ることはできませんので、弁護士が病院に赴き、出張相談を受けるということにしました。

その際には、支援の方にも同席していただきました。

それから、支援の方や担当医師、看護師からご本人の状況をお伺いし、ご本人にも直接面会しました。

初めてお会いするので、まずはきちんと挨拶することから始めます。

挨拶は当たり前の話ですが、相談者さんの挨拶の仕方や表情・様子を観ることで、その方のタイプや心理状態などを推し量ることができます。

また、日常会話もとても重要で、ご本人の理解力や判断能力をかなり知ることができます。

こちらからの問いかけに対してきちんと答えられて会話が成り立つのか、逆に、会話のかみ合わない状況やその程度をみます。

会話の中で、同じことを繰り返す頻度や昔話ばかりをしないかなどにも留意します。

相談者さんと挨拶、会話をしましたが、会話はほとんどかみ合いませんし、機嫌が良かったのか突然歌ったり踊り出したりもされました。

明らかに判断能力がないとわかりました。

相談者さんのサポートとして成年後見人が必要ですが、弁護士が成年後見申立てを代理するためには、本人と委任契約を結必要があります。

しかし、ご本人と委任契約を結ぶことができないとわかりました。

また、相談者さんには身寄りがいません。

もし身寄りがいれば、その方に協力をお願いし、その方と委任契約を結び、弁護士は成年後見申立てを代理することができます。

しかしそれもできません。

 

 

結果

 

そこで、そういう場合のための方法として、市長申立てを選択しました。

市町村長申立ては、成年後見制度の利用が必要な状況であるにもかかわらず、本人や家族によって申立てを行うことが難しい場合など特に必要があるときに市町村長が後見開始の審判申立て等をするというもので、老人福祉法などに規定があります。

もっとも、市長申立てという方法も、実際は、その必要性の判断や手続そのものなどにかなり時間を要します。

そこで、弁護士は、市の担当窓口に協力をお願いし、市長申立てをできる限りスムーズにしてもらえるようお手伝いし、相談者さんに成年後見人をつけることができました。

 

 

弁護士から

 

ご相談は、弁護士の事務所にお越しいただく場合だけではなく、ご本人の状況により、出張相談にも応じる場合もあります。

また、弁護士は、法律を駆使して、よりスムーズに、そして、ご相談者さんの生活や財産全般に関するより良いサポート体制を作るお手伝いもします。

このようなサポートの必要性を感じられている方は、一度専門家である弁護士に相談されるとよいと思います。

 

 

 

※これらの解決事例は実際に当事務所での取扱事案ではありますが、個人や事案の情報を保護する目的で一部変更をしている個所もあります。


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