ご主人の債務を相続したが、過払金の回収によって相続放棄をせずに済んだ事例

解決事例

【50代女性】

事案:相続、相続放棄

 

 

相談内容

 

相談者さんは、ご主人を亡くしました。相続人は、配偶者である相談者さんと子が2人。

亡くなったご主人の部屋を片付けていると、消費者金融やクレジット会社のカードや利用明細などが出てきました。

ご主人がそれらを利用していたことは知っていましたが、利用明細を見る限り、数社からの債務が残っているようでした。

自宅は賃貸ですし、ご主人名義の預貯金残高もほとんどなく、その他のめぼしい財産もありませんでした。

そこで、相談者さんは、相続放棄をしようと考え、弁護士に相談にきました。

 

 

対応

 

弁護士は、まず、相続財産の正確な把握に努めました。

相続財産はプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。

通帳で残高を確認したり、手元にある郵便物すべてを持って来ていただきそれを一つ一つ確認したりしました。

とくに、債務関係は要チェックですので、通帳を見て、借入れや返済の履歴がないかどうか、郵便物の中に債権者からの請求書や催告書がないかどうか、債務はいくら残っているのか、いつ頃から利用していたのかなど、細かくチェックをしました。

相談者さんからも、ご主人の利用状況について可能な限り事情をお伺いしました。

そうすると、債務がいわゆる過払の状態になっている可能性が高いことがわかりました。

過払金とは、簡単に言うと、返済の際に払い過ぎた利息のことで、それを債権者から返してもらうことが法的に認められているのです。

ただ、過払金が発生しているとしても、過払金額はいくらなのか、実際にどれくらい取り戻せるかを判断する必要があります。

過払金が少額であれば、やはり相続放棄を選択せざるを得ないということも考えられます。

そこで、まずは、相続調査の一環として、債権者から取引履歴を取り寄せ、過払金の調査をすることにしました。

ただ、相続放棄できる期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に申述しなければならないと民法で定められていますので、その期間に留意する必要があります。

ですので、債権者に連絡を取って、すみやかに取引履歴を出してもらえるよう依頼したりしました。

調査には結局1か月程度かかりましたが、調査の結果、債務を大幅に上回る過払金があることがわかりました。

それで、相談者さんに相続財産の状況を説明するとともに過払金について回収可能性や回収時間等のリスクも十分に説明しました。

 

 

結果

 

相談者さんは、相続放棄をせずに、過払金を回収することを希望しましたので、相談者さんに代わって弁護士が過払金の回収をしていくことになりました。

過払金は数社で発生していましたので、回収の計画を立て、まずは、回収が確実な債権者業者を選択して示談による解決を先行させました。

その後、訴訟もして解決も図りました。

その結果、相談者さんは、相続放棄をすることなく、多額の過払金を取得することができました。

 

 

弁護士から

 

過払金については、宣伝や広告、ニュースなどでご存知の方もいらっしゃると思いますが、最近は、過払金の回収が容易ではなくなってきています。

今回のご相談は、亡くなったご主人の過払金の返還請求権の相続で、相続放棄がからんでおり、複雑かつ慎重に判断する必要がある事例でした。

このように、弁護士は、相続の場面においても、ご相談者さんにより利益をもたらすために、法律や実務状況の知識を生かして、最善の方法を探し出して解決していきます。

相続についてどのように対処すればいいかわからなかったり、少しでも不安があるような場合は、一度専門家である弁護士に相談されるとよいと思います。

 

 

 

※これらの解決事例は実際に当事務所での取扱事案ではありますが、個人や事案の情報を保護する目的で一部変更をしている個所もあります。


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